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アートを使ってブランディングする方法

  • 2018年8月24日
  • 読了時間: 4分

「月刊 商店建築」2018年8月号ってお手元にありますか。最新号です。 32ページを開いていただけますか。 そこに、黒いシートが、はさまっていますよね。 それ、スリーエムジャパン株式会社の新製品なんです。「ダイノックフィルム」と言えばインテリアデザイン業界で知らない人はいないシート建材ですね。

その新ラインアップ「マットシリーズ」のサンプルが、本誌に挟み込んであるのです。 これ、確かに、ナイスアイデアですよね。全国の数万人の人たちに一斉にサンプルを届けることができるのですから。 小さなことかもしれませんが、今までやっていなかったことを何か一つやってみる。

それって「挑戦」ですよね。


ちなみにこのサンプル広告では、現行製品と新製品のサンプルが並べて貼られています。たしかに比べてみると、新製品のほうはフィルムに指紋がつかない。これは機能的ですね。

「+Graphysm展」という展示会。 https://mailchi.mp/dd98479f6f03/void-invitation-101171?e=f32caf7502 場所は、東京・表参道。 2018年8月31日(金)までです。 これは一つの「挑戦」と言えるプロジェクトだと感じました。


この「+Graphysm」という展示は、ただのアート展ではないんです。 アート作品が置かれていて、それを鑑賞するだけという展示ではありません。 「アート作品を起点にして、それを企業や店のブランディングにまで展開してみよう」という事業なのです。

今まで、アート作品を企業が取り入れるとすると「ロビーラウンジに著名な現代アート作家の作品を置きました」という取り入れ方になりがちでした。

それはそれで価値はあるのですが、「+Graphysm」という事業は「アートを実践的に使ってみる」という視点を持っています。そこが新鮮だと感じました。



今回の参加作家は、宮嶋葉一さん、袴田京太朗さん、内海聖史さんの3名です。

どの作品もアート作品としてとても面白いです。 どれもユーモラスで観る人に親しみを感じさせます。しかし同時に作品がどのような視点で制作されているかを知ると「なるほど」と脳がじわじわ刺激される感覚を味わえます。

この事業を主導しているのはAzone+Associatesというグラフィックデザイン事務所です。デザイナーが主導しているということが重要なのです。それについては後述しましょう。

今回初めて発表されたプロジェクトなのでまだサービスの提供方法がはっきりと確定しているわけではありません。

例えば、こうした作品をレストランが購入する。あるいはあるレストランのために一つアート作品をオリジナルで制作してもらうこともありえますね。 そうした絵画や彫刻を、例えばインテリアデザインに採り入れる。 そしてその作品からエッセンスを抽出し、そのエッセンスをショップカード、ウェブサイト、紙カップ、包装紙など、あらゆるアイテムに展開していく。

大事なのは作家の世界観や意図に沿いながらエッセンスを抽出するということです。ここでグラフィックデザイン事務所が主導しているということが意味を持ってくるわけです。 グラフィックデザイナーがアート作家と綿密に対話して作家の世界観や特性を見抜く。その上でアートを販促物に援用していくわけです。

「アート」「ブランディング」というトピックに関心が高まっている今、その両者を橋渡しする興味深いプロジェクトと言えます。

もう一つ別の観点から興味深いと思ったのは、このプロジェクトがアート活動をビジネスとしても成立させうる一つの回路を提示している点です。 アート活動をビジネスとして成功させようと考えると、作品そのものに非常に高い価格をつけるという方向を考えてしまいがちです。もちろんセルフブランディングに長けたアーティストはそういう方向を推し進めることも一つの戦略でしょう。 ですが今回のプロジェクトはそれとは異なる方向性を示しています。

そんなわけで「アート」と「ブランディング」に興味ある方は、表参道エリアへ行った際に立ち寄ってみてください。刺激やヒントをもらえるはずです。

以上、「アート」「ブランディング」そして「挑戦」に関する話でした。

■「+Graphysm展:空間におけるアートの存在と、その連動。」 ■2018年7月20日(金)~8月31日(金)日・月・祝日休 ■参加作家:宮嶋葉一、袴田京太朗、内海聖史 ■会場:void+(〒107-0062 東京都港区南青山3-16-14-1F)

http://www.voidplus.jp ■入場無料


 
 
 

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